Jibaro Times

Various Artists
Jibaro Times: Chapter 1 [Infiltrate] (CD)
Price: ¥2,420 ¥500

Label: Betanica Del Jibaro/RL66 (JPN)
Release Date: 2004
Format: CD
Genre: Hip Hop
Condition: S

マイアミに拠点を置き、数々の伝説的ヴァイナルをドロップしてきたレーベル"Botanica del Jibaro"。レーベルオーナーでもあり、そのアートワーク全てを手掛けるLa Mano Friaの確固とした信念と理論を基盤とする、政治的或いは道徳的ともいえる鮮烈なメッセージが、このレーベルの活動を通じて全世界へと発信されてきた。La Mano Friaの運営するレーベルは合わせて3つあるが、"Botanica del Jibaro"は、その中でもヒップホップという手法に基づいた楽曲をリリースするべく設立されたレーベルである。今回のアルバムは、レーベルとして欠番になっていたナンバー「BDJ001」、つまり、レーベルの意志を示すため世に放つべき第一歩として、ずっと温められていた"001"のカタログ・ナンバーを背負ってリリースされる非常に重要なアルバムである。収録されているのは、マイアミ発のアンダーグラウンド・アーティスト/レーベルたちの楽曲である。La Mano Friaの盟友、Super Soul率いるレーベル"Metatronix"、過去、Five Deezを輩出した"Counter Flow"、Machine Drumなどのエレクトロニカ・アーティストたちをサポートする"Merck"、そして御存じ、Antennae、Climberなどが所属する"Botanica del Jibaro"。以下に続くレーベル・オーナー、La Mano Friaによるメッセージにそれら全ての行動の意味は記されている。

Globalization
グローバリゼーションとは何か? 過去100年間において、人間は飛行機、原子爆弾、コンピューターを発明し、宇宙飛行、2度に渡る世界大戦を行い、人工衛星の科学技術まで利用するようになった。これらがまさに企業による資本主義に必要な要素だ。企業は、世界で唯一の超大国であるアメリカを利用し、コントロールしながら、企業的資本主義のイデオロギーを実行し、全力で押し進めている。グローバリゼーションのためのプロパガンダとマーケティングは単純なものだ。地球を消費することによって、世界は繁栄し、平和と秩序がもたらされると私達は信じさせられている。もちろん、他に明白な選択肢が与えられていない状況において、このような美しいビジョンは捨てがたいと言えるだろう。

しかしながら、皮肉にも世界の多くの問題や対立は、企業資本主義者に端を発するのだ。例えば、禁煙用のニコチンパッチを売っている会社は、実はタバコ会社が所有している。人々に問題を売りつけ、逆に解決法を売りつけることによって、利益を倍にするのだ。資本主義とはそういうものだ。また、中東の人々は長年虐げられ、貧困と戦争を強いられてきたが、シャイフや王族らは国の唯一の資源である石油を世界中に売りさばいている。イラク問題でもこれは歴然としており、問題の中心となっているのは石油であり、石油が豊富なこの地域の安定を図っているのだ。西洋と中東の企業資本主義者らは、不正、貧困、不平等という問題を生みだし、それがイスラム原理主義を台頭させた。

イスラム原理主義の問題が肥大化したときに、彼らは「9.11」、「対テロ戦争」、「ビン・ラディン」、「アル・カエダ」などのブランドネームやマーケティング・コンセプトと戦争をする必要性を売りつけ、先進工業国と密接な繋がりのあるシャイフや王族らの反対勢力を攻撃し壊滅するようにしむけたのだ。またもや同じ人々が問題を作り出し、同じ人々がそれを解決する。結果として、あらゆるタイプの企業が搾取できるあらゆるタイプの新しい市場が生まれ(モトローラ社、コカコーラ、シティバンク、IBMなど)、防衛と軍事請負業者は何百万ドルも稼ぎ、石油会社は何十億ドルも儲け、貧しい人々は死人を埋葬する。

優れた企業にはプロの広報、マーケティング、そして宣伝チームがいるが、企業と資本主義のイデオロギーを信奉する政府にも同様のものがある。中南米においてそれは特に顕著だ。1400年代にスペイン人は中南米に辿り着き、彼らは金や財宝を略奪してきた。2004年になった今、略奪者はヨーロッパ、日本、カナダ、そしてもちろん米国であり、彼らは石油、鉱物、タバコ、バナナ、コーヒー、チョコレート、そして最も重要である世界の製品を生産するための労働力への飽くなき欲求を満たそうとしてきた。

ラテン・アメリカの人々を不安定にし利用してきた連中は、FTAAと国を更に開放することを促してきたのである。そうすることで、中南米の人々が「自由貿易の恩恵を受け」、「私達のように大画面のテレビ、コンピュータ、携帯電話、大きな車」を所有できると宣言してきた。しかし唯一の問題は、健全なインフラ、国家、民主主義もない国にとって、これらのものは虚偽の夢でしかない。労働者は先進工業国家の10パーセントの賃金で更に過酷な労働を強いられ、搾取され続けている。Gap、ナイキ、スターバックスが小さな国よりも裕福になり、権力を握られるようになれるのはこのためだ。

この安い労働力があるからこそ、これらの会社は世界中で店を開き、目に付くところでどこでも宣伝を出し、何でもスポンサーをすることができるのだ。彼らのお金は、南アジア、アフリカ、ラテン・アメリカの汗と苦しみから生まれたものなのである。これらの新たな企業「国家」に比べたら、ハイテク工業民主国家、そして無数の第三世界の国家などの伝統的国家は衰弱しており、重要性も減っている。世界中で紛争と戦争が蔓延している中で、企業資本主義者と先進工業国家の指導者らは、彼らはネオリベラル型グローバリゼーションを必至のものとして掲げ、まるで世界の問題を治療する医者として自らを提示している。

別の有効な選択肢が欠如しているため、多国籍企業は新しい「マーケット」を吸収し続け、地球上の全ての人間がシティバンクで口座を開き、コカコーラを飲み、ナイキのスニーカーを買い、携帯電話を持つような地球を作ろうとしている。彼らは国境を越え、誰からも反対されずに、生産、商業、文化、経済のグローバルなネットワークを編み出している。拡大、投資し、増大しながら、限られた数の人々に富みを集中させているのだ。彼らは一丸となって地域、国家、国際的な機関と法律に影響を及ぼす。そして、ヨーロッパ、北米、日本の政府と共に、世界貿易機関、国際通貨基金、そして国連などの国際機関と連携して、彼らが自由に貿易と投資ができる国際的なシステムを形成している。つまり、彼らが活動している国の文化やコミュニティに対して何ら責任をもたなくてもよい世界が生み出されている。

この動きは、歴史的に進化している見識ある文明の必然的な形なのではなく、企業が掲げる目標の避けられない現実なのである。それはつまり、少数派である企業資本主義者の利益を極限まで増やそうとすることなのだ。結果として、一つの通貨的、経済的システムのもとに、極めて小さなマイノリティが、世界中で60億人もの人々を奴隷にし、コントロールしているのだ。民主主義もなく、人民は権力を持たず、誰もコントロールすることができない一つの巨大なシステムに基づいた世界だけが残るのだ。これがグローバリゼーションと企業モデルなのであり、石油、食物、服、電子機器、そして音楽産業など、どの産業でも目の当たりにすることができる。企業が国、資源、人間を吸収し搾取するのと同様に、音楽業界でも同じことが起きている。音楽とカルチャーは大量生産され、大量消費されるためにパッケージ化されている。

メジャー・レーベルは、ライター、グラフィック・デザイナー、シンガー、DJ、ミュージシャン、作曲家などのクリエイティブな仕事を利用して、企業という機械の燃料にするために、巨万の富を稼いでいる。これだけ収益を生み出すことによって、メジャー・レーベルは販売、プロモーション、マーケティング、宣伝チームのための大規模なバジェットを手にすることが出来る。そして最終的に、アーティストのクォリティはもう関係のないものになってしまうのだ。ここでも主なポイントは、金儲けをし、機械を維持させることなのである。したがって、あまり才能のないアーティストを流行りのポップ・スターと同じサウンドになるよう、型にはめられてしまうのだ。

もう一つのシナリオとして、機械の燃料を素早く入手するために、メジャー・レーベルはインディ・レーベルのアーティストを横取りしていくのである。そして多くのアンダーグラウンド・アーティストは「富、名声、成功」の大きな夢とは長年無縁だったため、今まで嫌っていた企業マシンと契約を結ぶことを拒むことが出来なくなる。そこで登場するのがInfiltrate・・・。

Infiltrate
Infiltrate(インフィルトレート)は、企業的な音楽エスタブリッシュメントではなく、インディのDIY精神を掲げたイベントなのだ。音楽業界における企業の横暴が理解できれば、世界中における企業の横暴が理解できると僕らは信じている。1999年3月に僕らは行動を起こした。ターゲットはウィンター・ミュージック・カンファレンス(WMC)。毎年マイアミ・ビーチで行われるこのイベントは、世界の有名なアーティストやエレクトロニック・ダンス・ミュージックをテーマにしている。アンチWMCのイベントとして始まったInfiltrateは、マイアミをロケーションとして利用しながらも、マイアミのシーンを全くサポートしないこのいかにも企業的な方法論への反撃として始まった。WMC側から、マイアミのアンダーグラウンド・レーベルやアーティストと繋がりを持とうという試みは全くなかった。マイアミのローカルなレーベルやアーティストをショーケースすることもなく、招待されることもなかった。250ドル払って、彼らの「カンファレンス」に参加することしかできないのだ。

私達は、自分たちが持っている手段を駆使して侵入することにした。僕らはWMC(かつては)最大級のビーチ・フェスティバルだったUltraで、物販スペースを確保した。しかし、物販をするのではなく、スピーカーとサウンドシステムとターンテーブルを持ち込み、マイアミや世界中から訪れてきた様々なミュージシャンに出演してもらった。フライヤーも配り、大規模な企業的イベントの中に、自分たちのイベントを開催したわけだ。彼らのパーティーに侵入し、マイアミのアンダーグラウンド・シーンをプロモートすることによって、Infiltrate 1.0が生まれたのだ。過去6年間において、ローカルなインディ・アーティストが団結し、システムの中に侵入すれば、何が可能かということを僕らは証明してきた。毎年徐々に、このムーブメントは強力になり、今まで軽視されてきたマイアミのアンダーグラウンド・シーンの表現の場となってきた。

しかし理解して欲しいのは、僕らはマイアミにいるかもしれないが、Infiltrateの思想はどこでも実行することができるものであり、全ての人のものであるということ。君がどこに住んでいようと、そしてどんなアンダーグラウンド・シーンに関っていようと、僕らと同じように侵入して、貪欲な企業から、自分の音楽と人生を取り戻す力を誰もが持っているのだ。根本的なルールは、相手のシステムを逆に利用し、自分のシステムを強化させることだ。搾取する方を、逆に搾取してやればいいのだ。そして、一人で行動するのではなく、君が関わっているアンダーグラウンド・コミュニティ全体が行動するべきなのだ。組織化し、侵入せよ!

Botanica
Botanicaは、一種のお店のことである。カリブ海やラテン系の人口の比率が高い殆どのアーバン・コミュニティ(ニューヨーク、ロサンジェルス、マイアミ)では、ボタニカは存在する。このような店では、西アフリカのヨルバ教(ナイジェリアとベニン)とスペインのカトリック教を組み合わせた、キューバのサンテリア教のための宗教的な物品が主に売られている。キューバで奴隷から解放された自由の身になった有色人種の人々が、古いヨルバの信仰と慣例に基づいてサンテリアを生みだしたのだ。ボタニカでは、儀式用の石鹸、ロウソク、聖人の像、貝殻などが売られている。ボタニカというのはもともとこういったお店のことだが、僕らは特にどの宗教とも関連性がないし、このような文脈でこの名前を利用しているわけではない。より抽象的な意味合いでこの言葉を使用しているのだ。

僕にとって、サンテリアは様々な国の信仰を混ぜ合わせた興味深い信仰なのだが、ヒップホップは似たようなもので、アメリカのブロンクスのストリート・ミュージック、カリブ海のダンスやサウンドシステムの要素、そして最終的にはアフリカの口承文化とドラミングにもルーツがあるのだ。ヒップホップは正しく利用すれば、最もクリエイティブで、スピリチュアルで、アーティスティックな表現方法と反逆方法であると昔から感じていた。ボタニカは、DJ、プロデューサー、MC、スポークン・ワード、情報、アートワーク、スピーチ、ビート、ヒバロ・タイムス新聞など、様々な要素を含んだ僕らのヒップホップ・レーベルの拠点となっている。

Jibaro
"Jibaro"(ヒバロ)という言葉はプエルトリコと関連づけられることが多いが、この言葉は実は南米からきたものだ。ヒバロはもともとエクアドルの部族と、そこに属する、サンチアゴとパスタザ河の森からアマゾン南部までの地域に住む部族のことだ。アマゾン上流の地域にいた他の部族に比べて、ヒバロは以下のことで知られていた

(1)戦争をしたときは敵側の兵士の首を切り落とし、巧妙な手口によって、殺された兵士の顔の表情が残されるようにしたこと。

(2)キリスト教に征服されることに抵抗し、見事に成功したこと。しかし彼らは抵抗することによって、彼らは「野蛮人」と見なされ、「ヒバロ」は軽蔑的な意味合いをもつ言葉になった。人種差別者にとって、「ヒバロ」は先住民の血を引き、教育を受けず、貧しいまま田舎に住んでいる人のことだった。

プエルトリコでは、「ヒバロ」は素朴な生き方や生活を意味する。伝統的に「ヒバロ」は山に住む貧しい人のことで、彼らの生活で音楽は大きな意味合いを持っていた。ヒバロらは、独自のエンターテインメントを持っていて、それは音楽だった。ヒバロたちは詩人、作曲家、そして物語の偉大な語り手にもなった。ヒバロとは、貧しいカンペシノ(百姓)のことで、無教育で、文盲で、貧困状態の中で暮らしていたが、誠実で、勇敢で、心優しく、自給自足で暮らし、シンプルな生活でも知られていた。君がアジア、アフリカ、ヨーロッパ、中近東の出身であっても、ヒバロは僕ら全てを代表するものなのだ。

01. Mans Vents - Malcolm Kipe
02. Paper Chase - Supersoul & Judah Manson
03. U ain't Fresh - Panda One
04. The Secret - Climber
05. Resistance - Soarse Spoken featuring Punch3nello
06. I of the Beholder - Climber featuring Serum
07. Freedom - Manuvers
08. Summer Blues (Manuvers remix) - Soarse Spoken
09. Mira - Epstein
11. Decisions - Manuvers featuring Seven Star
12. torytellers Story - Deaf to the General Public
13. Comp Stomp - Dave Ghetto
14. Bam - Eliot Lipp
15. Light to Light (Manuvers remix) - Antennae